x純文学少女歌劇団 File No.0002『パラノイドには騙されない』感想

0000から追ってきましたが、どんどん役者さんみんな芝居が上手くなってきていて物語としてもおもしろさが加速していて楽しかった~。世界の話がおぼろげに見えてきたり、事件が核心にせまりつつあったり、ドロシーがまさかの登場をしたりといろいろ盛りだくさんでうれしい。

しかしながら文通ジュディさん!!!にすべて持って行かれてしまいました!ありがとう!
背の高い美人の上司が床の下から這い出てきていきなり俳句を詠んでくれたので「これこれこれ~!」になっちゃった。三浦香のオリジナルキャラクターの原液を喉に流し込まれて気分がいい。ゴキゲンでクイズを出したかと思えば答えさせてくれず、足の長さを誇りやたらと小芝居を繰り返しコールアンドレスポンスまでやってくれたら他にのぞむものはない。「いい人だ!」と自称している人が本当にいい人に見えることがあるんだ。ちょっと調子に乗りすぎる部下もかなりだいじにしてくれているし。左右にちいさいのを侍らせてくれたときの構図が完璧でたすかりました。なにもかもありがとう。満足です。

まじめなことをちょっと言うと三者関係を描くのがとても上手。すでに完成している二者間に入っていくのは「みじめ」であるという価値観があるんでしょうね。ドロシーはド正論パンチ人間なので友達になれよ、入ってこいよと言うし、新しい三者関係では実際にそれができてしまう人だったが人間必ずしもそうではなく……ドロシーに友達になるよと言われたセイラが受け入れるのはそれが二者間の関係になったからでもあるんだろう。

しかし大詰めだ。おそらく彼女たちがこの檻を捨てて出て行く場面まで書かれるんだろうなと思うと楽しみ。謎はだいぶ明らかになったようで全然明らかになっていないし、お歌もダンスも全てが完璧で善良なジュディさんの「自立した女性像」もかなり間違っているし。
サラリーマン川柳から始まるかかあ天下や夫の金できれいなドレスを買うこと、転校生ジュディさんの無情な現実編の慰謝料巻き上げや痴漢冤罪トピック、我々の社会ではむしろ「そういうところ女性は優遇されていますよね笑」で上がりがちな表層的な事例でしかなく、女性優位や自立した女性像とは全然違う。
ジュディさん、時代錯誤警察でさえ限られた情報しか得られない時代と思うと、観ているときはめちゃめちゃ笑ったのですが、ぞっとしないものがある。三浦さんが意図的にやってないはずがないので、次回はこのあたりも回収してほしい。ジュディさんの制服は三本線なので、おそらく四本線のキャプテンが存在するはずなんですよね……出てきてほしいな……

前回まではブラックパレードをどういう気持ちでやっている……?と思っていましたが、0002を観て、舞台本編は全てが過去の話であり、x純文学シリーズ自体が国を捨ててきた彼女たちによる告発なのかもしれないなと思いました。おもしろすぎる、はやく完結が観たい。

そしてわるいオタクなので、LikeAの解の片鱗をそこかしこに観てしまう。はやくLikeAの続きもやってほしい。講談社でどうにか権利を買って貰って姉妹シリーズとしてひとつ展開を……

 

あとは三浦香のおたくによるClubSLAZYやLikeAやDustBunnySHOWを前提としたわるい感想

・今回のブラックパレードはスペライだったので大満足、ニコニコしちゃった。
・セイラのかわいさ、やっぱりくりくりおめめを褒められていてクールビー族だ!になってしまった。
・女生徒たちはみんな、生徒会長になんてなるもんじゃねえというのを理解していて賢い。生徒会長=トップエースだもんな、あんなもんなるもんじゃない。
・白雪ミロワールなる黒と紫のドレスをまとった檻の管理者が男たちとの遊びへ誘うエメラルドに光る招待状を渡してくるのも意味すぎる。ステラマリーナも少女たちの檻であり心を殺させる場である、スレイジーとTORIのハイブリッドのようだし。
そして男たちのいる「グレゴリーロマンス街」ってどういう意味だろうね~とグレゴリーをウィキペディアで調べたら「原意は『見張るもの』」って出てきて息が止まってしまった。グレゴリーは旧約聖書の堕天使の一団グリゴリと同義とも書かれているし……なんて完璧な名付けなんだ。ロマンス街のことも教えて欲しいよ。
・DustBunnySHOWを経て女たちは檻を壊して出て行くのだと信じているので、X純文学もおそらくこの学園と国を捨てるラストなのだろうと勝手に決めつけている。楽しみだけど、それにしたって世界の形を明らかにして完結してほしい、こんなにも全部決まっていそうなのに何もわからんままになりそうでそわそわする。教えて~!